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「善き人のためのソナタ」
先週見たDVDを一つ・・・・これはお薦めです、ちょっと重いけれど。

善き人のためのソナタ スタンダード・エディション善き人のためのソナタ スタンダード・エディション
(2007/08/03)
ウルリッヒ・ミューエ、セバスチャン・コッホ 他

商品詳細を見る

「レーニンがベートーベンのピアノソナタ『熱情』を聴いてしまうと、
 革命を最期までやりおおせることができないと言った」
  (作中より)

芸術は歴史と共に政治に利用され、弾圧され、翻弄されて来ている側面もあれば、
逆に歴史を動かしたり、民衆を扇動したり、人の人生を翻弄する側面もある。
この「善き人のためのソナタ」(DAS LEBEN DER ANDEREN)はどちらかというと後者。

ベルリンの壁が崩壊する5年前の東ドイツが舞台、2007年度アカデミー賞外国語映画賞受賞作品。
この壁が崩壊した1989年、日本はバブルの真っ只中でみんなが浮かれていた時代なんですよね~。

~物語~
1984年、東西冷戦下の東ベルリン。国家保安省(シュタージ)局員のヴィースラーは、劇作家のドライマンと舞台女優である恋人のクリスタが反体制的であるという証拠をつかむよう命じられる。
ドライマンのアパートに盗聴器をしかけ、徹底した監視をはじめるが~


徹底した監視体制、非常さはナチス時代のゲシュタボよも比較される旧東ドイツの秘密警察・諜報機関シュタージ(国家保安省)、そのシュタージの実態を真っ向から描き出したはじめてのドイツ映画として話題になったのも記憶に新しいです。この作品の新鋭監督(当時33歳)は元シュタージ局員、密告されて職を失った人、拘束・逮捕された人などへのインタビュー等4年間、リサーチを重ねこの映画を作り出しました。主演ヴィースラー役のウルリッヒ・ミューエ、この映画公開後の2007年7月22日癌で急死していますが、彼自身も、旧東ドイツ時代にはシュタージの監視下におかれており、当時の妻であった女優イェニー・グレルマンがミューエの行動を監視し密告していたと言う説もあります(グレルマン本人はこれを否定)。
「ゲシュタポでは、罪もないおばあさんの顔を心の咎も無く、乱暴に殴りつけることができる人が求められましたが、シュタージの場合はまったく反対のことが求められました。人を心理的に追いつめることのできる人が求められたんです。」(監督談)作中最初の場面で容赦なく描かれています。


映画のタイトルとなっている「善き人のためのソナタ」とはドライマンの友人であり、政府からの弾圧で活動の場を失われた演出家のイェルスカより誕生日のプレゼントとしてもらったピアノ楽譜のタイトルです。「この曲を本気で聴いた者は、悪人になれない」という言葉と共に贈られたこのプレゼントを受け取った何日か後、贈り主のイェルスカは自殺します。そのイェルスカに対して何もすることができなかったドライマンは後悔と追悼の念を込めながら彼から贈られたその曲を弾きます。
盗聴したヴィースラー、作中ずっと鉄仮面のように無表情、ひたすら怖い顔で眼力が凄すぎるのですが、この瞬間、その曲に激しく心を掻き乱され一筋の涙を流します。

勿論、ここに至るまでヴィースラーは自分の党に対する忠誠心と出世した同僚の野心と権力の乱用の狭間に立ち、殺伐とした毎日を繰り返すだけの自分の生活と、盗聴器の向こうから漏れ伝わってくるドライマンの人間らしい生活に触れ、変化して行く様が描かれています。
そして最後の仕上げのように、ドライマンが弾いた「善き人のためのソナタ」、ブレヒトの詩集がヴィースラーを変えます。

(ブレヒト:ドイツの20世紀を代表する劇作家・詩人。彼はナチ政権下にアメリカに亡命。)

この映画は確かにシュタージが如何に残酷であったか、人々が如何に弾圧されていたか、
旧東ドイツのもつ心の傷を見事に描いているのですが、それだけではなく、
ヴィースラーが自分の信念や生き方を変化を見せながらも貫く姿が潔く、
途中、ヴィースラーがドライマンを護ろうとして行なう様々な行為とその心理の描写が素晴らしいです。
それもドライマンがまったくその行為に気付かないので、ある意味無償の行為。
自分の信念に誠実に生き、失脚して行くヴィースラー、それでも仕事を淡々とこなし生活します。
その無表情な仕事振りは人生を諦めたのではなく、何か成し遂げた者の持つ強さを感じます。
壁が崩壊して何年か後、偶然にも自分が盗聴されていたことを知り、
旧東ドイツの過去の秘密資料を経てやっと真実を知ったドライマンの取る行動、
そしてラストのヴィースラーの一言の台詞には感極まります。

原題の”DAS LEBEN DER ANDEREN”の意味は「あちら側の人々の生活」「他者の人生」
自分(ヴィースラー)とは相反した人生(ドライマン)を知り、他者の存在に目覚め、
存在を認めて自分の生活をする、という意なのでしょうか。
これからの注目映画はアカデミー賞外国映画賞作品かもしれません。


余談ですが、この映画、娘と一緒に見ました。
最後のシーンで二人してボロボロ泣きながら、
「お母さん、この人最後これで良かったね」@ボロ泣き娘
「うんうん、もう最後の台詞が泣けるわ」@ボロボロ泣き母
「なんで東と西にドイツは分かれていたの?」@ボロ泣き娘
「それはね・・・・・・教科書に載ってるよ」@ボロボロボロ泣き母 ←情けない
ある程度は説明できても突っ込まないでくれ~、と、世界史に弱い自分にも泣けました。

また、最近行ったコンサートの余韻でずっとショスタコーヴィチを聴いていますが、
彼の生きた時代背景と被り、そういう意味でもとても興味深かったです。
と思ったら、昨夜某国営放送でショスタコーヴィチの交響曲第五番の背景を描いた番組
が放映されてちょっとタイムリーでビックリしました。
放送を知ったのは飲み会参加中に来た同僚・朋ちゃんからのメールで放送1時間前でした。
平日の謝恩会だったので早め始まり早め終了で番組に間に合いました。
再放送は3月31日午前5:05~5:30です。(早っ!)
タイムリーすぎてなんというか・・・・「求めよ、さらば与えられん」そのものやん、と。
しばらく彼のCDを聞くことにします。

テーマ : DVDで見た映画
ジャンル : 映画

Secret
(非公開コメント受付中)

わぁ早速観てみます
ところでベートーウ゛ェンのソナタ…熱情ではなくって情熱ですか…?
>カンさん
おぉー(嬉々)!見てくだされ~。

おぉ~(涙々)!先週、DVD返しちゃったよ~。
でも検索したら間違っとるよ~、トットと直させていただきました。サンキュ♪
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